JB64ジムニーにはクラッチスタートシステムが装備されているので、エンジン始動時にはクラッチペダルを踏まなくてはかかりません。
特に極寒時にエンジンかけて暖気終了までまた暖かい家に逃げ込む際にも、一度寒い車内に乗り込んでクラッチを踏む必要が有りますから、それが煩わしいというお気持ちも分からないではないです。
先日ご来店されたお客さまの車両にはクラッチスタートシステムを回避する為、クラッチスイッチの配線が短絡加工されていて常にクラッチが踏まれている状態にされていました。
これなら車両はクラッチを踏んでいる状態と誤認しますから、クラッチを踏まずにエンジン始動できます。
しかし今時の車はそう単純ではないのです( ̄▽ ̄;)
なのでまた説明が複雑ですが、割と大事なお話です。
こちらの写真はスズキ純正診断機の画面ですが、上2行が点火時期とエンジン回転数です。
アイドリング回転の852rpm時に点火時期14.5度です。
普通の状態ですね。
ここでクラッチを踏み込みます。
するとアイドリング回転数は大きく変化しないまま、点火時期が-6.5度まで遅角されました。
MTのJB64ジムニーは非常に気が利いていて、クラッチを踏むとドライバーが発進の準備をしていると認識して、点火時期やスロットルを操作して発進しやすくなるように備えてくれるのです。
しかしクラッチスイッチを短絡してしまうと常にこの状態で制御される事になってしまいます。
更にここでクラッチを離してからアクセルを踏み込んで空ぶかしをしてみると、約4500回転時に点火時期31.5度です。
普通ですね。
その時の排気温度は約650℃です。
まあ大体普通です。
問題はここからで、その状態からクラッチを踏み込むと約4500回転時になんと点火時期4.5度まで遅角されます。
そうなると排気温度は当然急上昇してなんと無負荷にも関わらず800℃近くまで上昇します。
この温度は走行状態ならかなりブーストもかかっていて、エンジンパワーを使って走っている時の温度帯になりますのでかなり負荷がかかっていると言えます。
使用状況を想像するなら、クラッチを踏み込んだまま空ぶかしを行う状況と言うと、競技でロケットスタートを狙う時くらいのもので、短時間で終わって常用するような事も少ないと思われますのでまだ負担は少ないと思います。
しかしもしクラッチスイッチを短絡したままで通常使用すると、常にこの状態にエンジンは追い込まれてしまっていて必要も無いのに無駄な負荷をエンジンやタービン、また触媒などの排気系統にかけてしまっている事になります。
あまりおすすめ出来る状況では無いですね
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