もともとの販売台数の少なさから希少な個体となりつつあるJB31型のジムニーシエラです。
今回はオーバーヒートしてしまうという症状で遠保よりご入庫いただきました。
オーバーヒートの原因はシリンダーヘッドガスケット抜けの様です。
ヘッドガスケットが抜けることで冷却水通路と燃焼室が繋がってしまい、燃焼圧力で冷却水が押し出されてしまい水不足からオーバーヒートしてしまうパターンです。
早速シリンダーヘッドを外してみました。
幸い測定の結果今回ヘッドに歪みは見られませんでした。
オーバーヒートすると高温に晒されて歪んでしまう場合が有ります
しかしながらシリンダーブロック側には顕著な歪みが見つかりました。
測定は100分の1ミリレベルで行われますが、困ったことにシリンダーライナーに10分の1レベルの歪みがあります。
異音も若干発生していたので残念ながら納得の結果ですが、シリンダーブロックは再使用不能状態です。
ガスケット抜けにより冷却水が押し出されてしまった結果、ヒートスポットができて熱で歪んでしまったのでしょうね。
ではどの様に修理するかですが、コストにも制限が有るので今回はお客様ご自身でネットオークションからドナーエンジンをご用意いただけました。
早速使用に耐えられるか調査ですが、シリンダーヘッドのプラグホールがズルズルになめています。
この様な内容は明記されていたかったとのことなので、やっぱり個人売買は怖いですね。
今回はシリンダーヘッドはもともとのエンジンのパーツが使用可能なので問題ありませんが、中古エンジンとして使用を考えていたら残念な結果になるところでしたね。
シリンダーブロック側は問題なさそうなのでドナーとしては有効活用できます。
再使用するシリンダーヘッドも一度分解してヘッドもバルブも清掃してから組みなおしました。
最低限バルブステムシールやオイルシールは交換になります。
ピストンも清掃して磨いてからピストンリングを交換してシリンダーブロックに組み込みなおします
完成したエンジンを車体に戻します。
オーバーヒート症状も無くなって、エンジンからの異音も解決して調子の良いエンジンになりました。
理想を言えば全て新品パーツを使用するか、機械加工で精密に仕上げたパーツを使用すれば理想通りの仕上がりが期待できますが、今回はコストも考慮したバランスの良い仕上がりになったと思います
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